医療›厚生労働省›社会保障審議会 医療保険部会

OTC類似薬(市販薬と同じような医療用医薬品)の保険給付の見直しは、どう議論され、どう決まったか

この記事のまとめ

  • 市販薬と成分などが同じ医療用医薬品に別途の負担を求める「一部保険外療養」が、2027年3月1日から始まります。
  • 第216回医療保険部会(2026年9月16日)にとりまとめ(案)が示され、同日に中医協が答申しました。
  • 2026年9月30日に政令・省令・告示が公布され、施行日は2027年3月1日と定められました。
  • 対象は77成分1042品目で、特別の料金は薬価の4分の1に投薬全量を乗じた額です。
  • こども・がん・指定難病・公費負担医療・入院中・長期使用など9つの場合は対象外です。
省庁
厚生労働省
会議体
社会保障審議会 医療保険部会
段階
成立・決定

市販薬と同じような医療用医薬品、「OTC類似薬」に共通の定義はない

市販薬(OTC医薬品)と成分などが同じ医療用医薬品を処方されたときに、保険給付とは別に患者に負担を求める「一部保険外療養」のしくみです。

なお、技術的検討会の中間とりまとめは、呼び名について次のように注記しています。

「OTC類似薬」の明確かつ共通の定義は存在しない

(出典:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ 1ページ 注1)

2025年6月の三党合意から2026年9月30日の公布まで

  1. 2025年6月:三党合意と骨太の方針2025OTC類似薬の保険給付の在り方を見直し、早期に実現が可能なものは2026年度から実行するとされました。
  2. 2025年10月〜12月:医療保険部会で議論第200回・第205回で事務局が論点を示し、第204回で患者団体からヒアリングを行いました。
  3. 2025年12月19日〜25日:与党合意・大臣折衝・議論の整理77成分、薬剤費の4分の1という案が示されました。
  4. 2026年5月29日:改正法の成立一部保険外療養が法律に設けられました。
  5. 2026年6月〜8月:技術的検討会4回の議論を経て、8月6日に中間とりまとめを公表しました。
  6. 2026年8月27日〜9月11日:医療保険部会第213回〜第215回で、負担を求めない人・療養の範囲などを議論しました。
  7. 2026年9月16日:とりまとめと答申第216回医療保険部会にとりまとめ(案)が示され、同日に中医協が答申しました。
  8. 2026年9月30日:政令・省令・告示の公布施行日は令和9年(2027年)3月1日と定められ、通知と対象医薬品リストが公表されました。

出発点:三党合意と骨太の方針2025で「2026年度から実行」

第205回医療保険部会(2025年11月27日)の資料1-1は、「自由民主党、公明党、日本維新の会 合意」(2025年6月11日)を次のように抜粋しています。

類似のOTC医薬品が存在する医療用医薬品(OTC類似薬)の保険給付のあり方の見直しについては、医療の質やアクセスの確保、患者の利便性に配慮しつつ、医療保険制度の持続可能性確保を目指すことを基本とし、令和7年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、令和8年度から実行する。

その際、医療機関における必要な受診を確保し、こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しつつ、成分や用量がOTC医薬品と同等のOTC類似薬をはじめとするOTC類似薬一般について保険給付のあり方の見直しの早期実施を目指す。

(出典:第205回医療保険部会 資料1-1 1ページ。合意文書そのものは確認していません)

骨太の方針2025(2025年6月13日閣議決定)は、「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し」などの改革について、次のように記しています。

2025 年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、2026 年度から実行する。

同じ箇所の注208は次のとおりです。

医療機関における必要な受診を確保し、こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しつつ、個別品目に関する対応について適正使用の取組の検討や、セルフメディケーション推進の観点からの更なる医薬品・検査薬のスイッチOTC化に向けた実効的な方策の検討を含む。

(出典:経済財政運営と改革の基本方針2025 第3章2.(1))

2025年秋:医療保険部会の3つの論点

第205回の資料1-1は、①費用負担の在り方、②配慮が必要な者の範囲、③OTC類似薬の範囲の3つを論点としました。①は次のとおりです。

骨太方針や医療保険部会における意見を踏まえ、医療機関における必要な受診の確保の観点から、薬剤そのものを保険給付の対象外とはしない前提で、患者の状況や負担に配慮した別途の負担を求めることについてどのように考えるか。

②には、こどもの範囲の案がありました。

成人年齢が18歳以上であること、こども医療費助成制度が広く行われていること等を踏まえ、配慮すべきこどもの範囲は、18歳以下の者とすることについてどう考えるか。

(出典:いずれも第205回医療保険部会 資料1-1 5ページ、9ページ)

第204回(11月20日)には、全国がん患者団体連合会、日本アレルギー友の会、ささえあい医療人権センターCOMLからヒアリングが行われ、同じ資料に主な意見が事務局の要約で載っています。

12月25日付の部会「議論の整理」は、しくみの方向を次のようにまとめました。

OTC 医薬品で対応している患者と OTC 医薬品で対応できる症状であるにも関わらず、他の被保険者の保険料にも負担をかけて医療用医薬品の給付を受ける患者との公平性を確保する観点から、薬剤を保険適用としつつ、薬剤費の一部を保険給付の対象外とし、患者に「特別の料金」を求める新たな仕組みを、保険外併用療養費制度の中に創設するべきである。

(出典:社会保障審議会医療保険部会「議論の整理」17ページ)

2025年12月:77成分・薬剤費の4分の1

第209回(12月25日)の資料1-3は、12月19日の自由民主党・日本維新の会 政調会長間合意を報告しました。対象の選び方は次のとおりです。

OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品を機械的に選択。

12月24日の大臣折衝事項(厚生労働省)には、次の記載があります。

別途の保険外負担(特別の料金)を求める新たな仕組みを創設し、令和8年度中(令和9年3月)に実施する。まずは、77成分(約1,100品目)を対象医薬品とし、薬剤費の4分の1に特別の料金を設定する。

令和9年度以降にその対象範囲を拡大していく。あわせて、特別の料金の対象となる薬剤費の割合の引き上げについても検討する。

(出典:第212回医療保険部会 資料2 6ページ「大臣折衝事項(令和7年12月24日 厚生労働省)(OTC類似薬部分)」)

第209回で、姫野課長(総務課長)は負担の構造を次のように説明しました。

ですので、合わせますと、3割負担の方ですと、通常ですと薬剤費の3割が負担割合になりますけれども、特別の料金4分の1分も合わせますと47.5%の実質的な負担ということになります。

委員からは、対象の拡大を求める意見と、配慮や検証を求める意見の両方が出ています。

今回の見直しは現実的な方向だと考えております。ただ、今後に向けては、やはり用法・用量、また、効能・効果等の違いも踏まえつつ、OTC医薬品で代替可能なものについてはできるだけ広い範囲を対象として具体的な検討を進めるべきだと考えております。

(佐野委員)

なので、そういうことを考えますと、全てのこどもを完全に除外するのは問題があるのではないかと考えております。

(中村委員)

実際にこの制度が始まっていきますと、それによってさらに負担が増えるという方が出てくることもあり得ると思いますので、その辺りはしっかりと検証していって適切に対応していただきたいと思います。

(城守委員。出典:いずれも第209回医療保険部会 議事録)

2026年5月:改正法にしくみを規定、77成分や4分の1は告示事項

厚生労働省のページによると、「健康保険法等の一部を改正する法律案」は2026年5月29日に成立し、6月5日に公布されました(令和8年法律第31号)。第212回の資料2は、改正後の健康保険法第63条第2項第6号を次のように示しています。

六 要指導医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第四条第五項第三号に規定する要指導医薬品をいう。)又は一般用医薬品(同項第四号に規定する一般用医薬品をいう。)との代替性が特に高い薬剤を用いた療養その他の適正な医療の提供を確保しつつ、公平かつ効率的な保険給付を行う必要性に鑑みその要する費用のうち一部を保険給付の対象としないものとする療養として厚生労働大臣が定めるもの(以下「一部保険外療養」という。)

8 厚生労働大臣は、第二項第六号の定めをするに当たっては、所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の療養を受ける者の事情を踏まえた療養となるよう配慮するものとする。

(出典:第212回医療保険部会 資料2 2ページ。法律の条文そのものではなく、事務局資料の記載から引用)

法律には77成分や4分の1という数字は書かれていません。第212回の資料1は、これらを告示事項とし、施行は公布後1年以内(令和9年3月1日施行を想定)としていました。施行日は後述のとおり、2026年9月30日公布の政令で令和9年3月1日と定められました。

一部保険外療養の創設の概要。趣旨(患者間の公平性の確保と保険料負担上昇の抑制)、対象医薬品77成分(約1,100品目)と主な対応症状、特別の料金は薬剤費の4分の1であることを示す図、配慮が必要な者、告示事項であることなどの注記
出典:厚生労働省 保険局「健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の成立について」(第212回社会保障審議会医療保険部会 資料1、2026年6月18日)10ページ

参議院厚生労働委員会の附帯決議(2026年5月28日)の七には、次の文言があります。

一部保険外療養の施行に当たっては、薬剤の支給において、要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性の高いものであっても、適正な医療の提供を確保するために必要なものについては、将来にわたって保険給付の対象とするとともに、配慮が必要な者への措置は将来にわたって維持すること。

(出典:第212回医療保険部会 資料1 6ページ)

財政影響について、第214回の資料2は次のように記しています。

OTC類似薬の保険給付の見直しについては、その財政効果として、年間約900億円医療費が減少すると見込んでいる。

(出典:第214回医療保険部会 資料2 10ページ。昨年末時点の算出との注記あり)

2026年6月〜8月:技術的検討会と中間とりまとめ

第212回(6月18日)で、事務局は「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」の設置を報告しました。検討事項は、77成分の効能効果の違いの整理、別途の負担を求めない者と療養の範囲の整理などです。

検討会における議論は、医療保険部会及び中央社会保険医療協議会にも報告し、議論する。

(出典:第212回医療保険部会 資料2 1ページ)

この回の委員の発言には、次のものがあります。

持続可能な医療保険制度の実現に向けて重要な前進だと理解しております。OTC医薬品を使用する方々との公平性を確保するためには分かりやすい運用が必要であり、患者や医療現場が混乱しないように可能な限り明確な基準を設定することも必要だと思います。

(米川委員)

このため、制度設計に当たっては、受診機会の確保や重症化防止の観点に十分配慮していただくことが重要であると考えております。

(馬場参考人)

改めて、この健康保険法第63条第2項第6号の取扱いは、将来にわたって薬剤のみに限定された規定であるという国会答弁に沿った対応を強く求めたいと思います。

(城守委員)

これまでも申し上げてきたとおり、商工会議所は小さなリスクは自助という考えに基づき、セルフケア、セルフメディケーションの推進を主張してまいりました。検討に当たって第一に考えるべきは、患者様の健康を守ることです。

(藤井委員。出典:いずれも第212回医療保険部会 議事録)

検討会は6月25日から8月5日までに4回開かれ、8月6日に中間とりまとめを公表しました。基本的な考え方は次のとおりです。

本制度は、必要な受診を行った上で、結果的に対象となる医療用医薬品が支給される場合に別途の負担を求めるものであり、一律にOTC医薬品を用いたセルフメディケーションを求めるものではない。

(出典:中間とりまとめ 2ページ)

中間とりまとめの概要(第214回資料2)は、別途の負担を求めない例に、がん・指定難病の患者(関連しない症状は負担の対象)、公費負担医療、入院中や処置等に伴う14日分までの処方、長期使用、妊婦などを挙げ、湿布・皮膚保湿剤などに令和10年度末までの経過措置を示しています。意見公募については次の記載があります。

8月6日から20日までの間、意見公募(パブリックコメント)を行い、897件の意見が届けられた。

(出典:第214回医療保険部会 資料2 5ページ)

2026年8月27日〜9月11日:18歳以下と生活保護受給者を対象外とする案など

第213回(8月27日)の資料1で、事務局はこども・低所得者について次の案を示しました。

18歳以下のこどもに対象医薬品が処方された場合は、別途の負担の対象外としてはどうか。

その上で、低所得者のうち生活保護受給者は最低限度の生活及び治療の継続に影響を及ぼすおそれがあることや、医療現場での確認の負担も考慮し、生活保護受給者を別途の負担の対象外としてはどうか。

(出典:第213回医療保険部会 資料1 14ページ。対象外となる「こども」は「18歳到達後最初の3月末までの者」と表記)

第214回の資料2には、低所得者を生活保護受給者とする考え方について、2026年4月22日の衆議院厚生労働委員会での保険局長の答弁が抜粋されています。

OTC類似薬の一部保険外療養の実務フロー(院外処方)。医療機関で、77成分への該当、18歳年度末までか・生活保護の医療扶助か、OTC医薬品が対応しない効能効果か、がん・指定難病・公費負担医療・処置等に伴う処方・年間の服用の必要性・妊婦等かを順に確認し、別途の負担の対象・対象外を判断して、薬局で説明と支払いを行う流れ
出典:厚生労働省 保険局「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について」(第213回社会保障審議会医療保険部会 資料1、2026年8月27日)15ページ

第213回・第214回では患者団体ヒアリングも行われました(第213回は全国がん患者団体連合会と日本難病・疾病団体協議会、第214回は日本アレルギー友の会とささえあい医療人権センターCOML)。例えば、全国がん患者団体連合会の意見として、事務局は次のようにまとめています。

処方日数(50週)の基準のみで判断せず、治療歴との関連、臓器機能、医師の管理下にあること、代替可能性などを総合的に考慮するべき。

(出典:第214回医療保険部会 資料2 2ページ。文責:事務局)

第213回〜第216回の議事録は、2026年10月11日時点で部会のページに掲載されていません。次回の資料に事務局がまとめた「主なご意見」(発言者名なし)には、方向の異なる意見が並んでいます。

現時点では本制度の施行による経済効果が薄いと言わざるを得ず、給付の抑制を目的とするのであれば、制度の対象医薬品の拡大などを検討するべき。

受診抑制により短期的に医療費が減っても、重症化等で中長期的な医療費が増える可能性があるため、制度施行後の実態把握と検証を制度に組み込むべき。

(出典:第214回医療保険部会 資料2 4ページ「医療保険部会(令和8年8月27日開催)における主なご意見」)

全額保険給付の対象外とする議論もあった中で、負担を4分の1にとどめていただいたことには感謝している。

医療費抑制効果は限定的である一方、患者負担は大きい。難病患者では数百円程度の負担増でも行動変容につながる可能性がある

(出典:第215回医療保険部会 資料1 3〜4ページ「医療保険部会(令和8年9月3日開催)における主なご意見」)

第215回(9月11日)の資料1は、さらに明確化する事項として3つの論点を示しました。

  • 長期使用:50週の目安は維持しつつ、次の確認方法とする案

年間おおむね50週という客観的な目安は維持しつつ、50週分の処方実績を一律に求めるのではなく、少なくとも6か月程度の使用実績と、その後も年間を通じた使用が必要であるとの医師の医学的判断を組み合わせて確認する取扱いとして明確化してはどうか

  • ステロイド外用薬のプロアクティブ療法

アトピー性皮膚炎に対して、プロアクティブ療法として通年にわたり定期的にステロイド外用薬を使用する場合は、別途の負担の対象外としてはどうか。

  • 指定難病患者の確認方法

令和9年度末までの時限措置として、これらを所持していない場合には、登録者証等の申請に用いる臨床調査個人票など、指定難病患者であることを確認できる書類による代替を認めてはどうか。

(出典:いずれも第215回医療保険部会 資料1 7〜8ページ、12ページ)

2026年9月16日:医療保険部会のとりまとめと、中医協の答申

第213回の資料1は、今後の進め方を次のように示していました。

患者等への周知、医療現場等の準備期間を確保する観点から本年9月頃を目途に成案を得ることとしてはどうか。

この工程どおり、2026年9月16日の第216回医療保険部会に、資料1として「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けたとりまとめ(案)」が出されました。結論の部分は次のとおりです。

その結果、医療保険部会の議論においては、以下の内容で本制度を実施すべきと結論を得た。

別途の負担の対象となる場合、対象外となる場合の考え方は、中間とりまとめで示された内容を基本とすること。

(出典:第216回医療保険部会 資料1 3ページ)

第215回で論点となった長期使用の確認方法は、次のように整理されました。

年間処方日数がおおむね50週(1年)という客観的な目安は維持しつつ、50週(1年)分の処方実績を一律に求めるのではなく、少なくとも6か月程度の使用実績があり、その後も年間を通じた使用が必要であるとの医師の医学的判断があれば、50週(1年)に達する前でも、別途の負担の対象外とすることが可能と明確化する。

(出典:第216回医療保険部会 資料1 8ページ「とりまとめのポイント」)

厚生労働省は、この資料のうち制度の全体像を示す1枚を「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について(医療保険部会とりまとめ)」として、専用ページに制度概要として掲載しています。その1枚では、対象医薬品が「77成分1042品目(抗アレルギー薬、鎮痛消炎剤、胃腸薬、去痰薬、皮膚保湿剤等)」と書かれています(出典:第216回医療保険部会 資料1 9ページ、および同じ1枚の制度概要)。2025年12月の大臣折衝事項の「約1,100品目」から、品目数の表記が変わりました。

低所得者への配慮と施行後の検証について、とりまとめ(案)は次のように書いています。

本制度の施行後において、様々な配慮を講じた本制度の導入による受療行動への影響等について把握・分析を行うこととする。

(出典:第216回医療保険部会 資料1 3ページ)

同じ9月16日、中央社会保険医療協議会の第657回総会は、療養担当規則などの改正案を答申しました。諮問は9月9日付けです。

令和8年9月9日付け厚生労働省発保 0909 第1号をもって諮問のあった件について、別紙の改正案を答申する。

(出典:中央社会保険医療協議会 答申書(一部保険外療養の創設に伴う療養担当規則等の所要の見直しについて)2026年9月16日)

改正の趣旨と中身は、同日の資料に次のように書かれています。

令和9年3月1日(予定)に、健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第 31 号)のうち一部保険外療養に係る規定が施行されることに伴い、必要な改正を行う。

処方箋上に「一部保険外療養」欄を追加し、対象医薬品を処方する場合は、別途の負担の対象である場合は「○」を、別途の負担の対象外である場合は「ー」を処方箋に記載することとする。

一部保険外療養については、各医療機関がその内容及び費用を決定することが原則な選定療養等と異なり、全ての保険医療機関・保険薬局において一律の内容及び費用として行われる取組であることから、院内掲示・ウェブサイトへの掲示義務は課さないこととする。

(出典:中医協 総-2-1 1ページ、総-2-2 1ページ)

2026年9月30日:政令・省令・告示が公布され、施行日は2027年3月1日

9月30日付けの通知(保医発0930第6号)は、公布と施行日を次のように伝えています。

これを踏まえ、健康保険法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和8年政令第 320 号)、保険医療機関及び保険医療養担当規則等の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第 143 号)及び健康保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係告示の整備に関する告示(令和8年厚生労働省告示第 360 号)が、令和8年9月 30 日に公布され、要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品の処方又は調剤に係る一部保険外療養が令和9年3月1日に施行されることとされたところである

(出典:「要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品の処方又は調剤に係る一部保険外療養について」令和8年9月30日 保医発0930第6号 1ページ)

対象医薬品と特別の料金は、告示そのものではなく、この通知と同日の事務連絡で定まりました。

一部保険外療養における対象医薬品は、要指導医薬品又は一般用医薬品と成分、投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品とし、一部保険外療養の施行時点の対象医薬品の一覧は、「要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品の処方又は調剤に係る一部保険外療養の対象医薬品等について」(令和8年9月 30 日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡)において示したところである。

なお、一部保険外療養における対象医薬品については、原則として毎年4月1日に対象医薬品の一覧を更新することとしている(毎年3月頃に事前に公表する予定)。

一部保険外療養における特別の料金は、対象医薬品の薬価に4分の1を乗じて得た価格に投薬全量を乗じて得た額とする。

(出典:いずれも保医発0930第6号 2ページ)

特別の料金を求めない場合は、9つに整理されました。

一部保険外療養においては、対象医薬品を使用する場合は、原則として特別の料金をお支払いいただくものであるが、以下の場合に対象医薬品を使用する際は、一部保険外療養の対象とはせず、特別の料金を求めない。

1 18 歳に達する日以後の最初の3月 31 日までの間にある者への処方又は調剤 2 がん又はがん治療に関連して生じた状態への処方又は調剤 3 指定難病若しくは小児慢性特定疾病(18 歳から 20 歳までの者に限る。)又は指定難病若しくは小児慢性特定疾病に関連して生じた状態への処方又は調剤 4 国の公費負担医療における処方又は調剤

5 入院時の処方(退院時処方を含む。) 6 侵襲を伴う検査、処置又は手術に伴う処方又は調剤(当該検査等後、14 日以内分の処方又は調剤に限る。) 7 医師が年間を通じた症状の持続と治療の継続性を確認し、対象医薬品の長期の使用が医療上必要であると認められる場合における処方又は調剤 8 類似の要指導医薬品又は一般用医薬品において承認されている効能・効果では対応できない状態への処方又は調剤 9 要指導医薬品又は一般用医薬品の使用が特に困難である場合における処方又は調剤(妊婦、妊娠している可能性がある者又は授乳婦が、代替性が特に高い要指導医薬品又は一般用医薬品を服用できない場合の処方又は調剤をいう。)

(出典:保医発0930第6号 2〜3ページ)

事務局案にあった生活保護受給者は、この9つの中に単独では現れません。通知は、4の「国の公費負担医療」の例として生活保護法などを挙げ、その公費負担医療が助成等の対象としていない症状への使用は特別の料金の対象になると書いています。

経過措置は2つあります。指定難病などの確認書類は次のとおりです。

ただし、当面の間(令和9年度末まで)は、医療受給者証又は指定難病登録者証を有していなくても、後述する患者が指定難病であることを客観的に確認できる一定の書類を示した場合は、指定難病又は指定難病に関連して生じた状態に対する対象医薬品の処方について、一部保険外療養の特別の料金の対象外とする。

外用薬については、アトピー性皮膚炎への皮膚保湿剤やプロアクティブ療法としてのステロイド外用薬が対象外とされたうえで、重度の変形性膝関節症への鎮痛消炎外用薬などが期限つきで加えられました。

また、当面の間(令和 10 年度末まで)は、上記に加え、以下についても特別の料金の対象外とする。

・ 皮膚保湿剤、皮膚保護剤及び角化症治療剤について、症状等が十分に改善せず、免疫抑制剤等による全身療法を直近1年以内に併用した治療歴がある場合であって、医師の指示の下で毎日使用し、年間を通じた継続使用の実績が認められる場合

(出典:いずれも保医発0930第6号 別紙)

決まったことと、これからの予定

  • 施行日:2027年3月1日(令和8年政令第320号)
  • 対象医薬品:77成分1042品目。一覧は厚生労働省の専用ページで公表され、原則として毎年4月1日に更新(毎年3月頃に事前公表の予定)
  • 特別の料金:対象医薬品の薬価に4分の1を乗じた価格に投薬全量を乗じた額
  • 対象外:こども(18歳に達する日以後最初の3月31日まで)、がん、指定難病・小児慢性特定疾病、国の公費負担医療、入院中、侵襲を伴う検査等に伴う14日分まで、長期使用、OTC医薬品の効能・効果では対応できない状態、妊婦等の9つ
  • 経過措置:指定難病などの確認書類の代替は令和9年度末まで、鎮痛消炎外用薬・皮膚保湿剤などの一部は令和10年度末まで
  • 施行前の準備:処方箋様式の改正(改正前の様式は当分の間、手書き等で修正して使用可)、国民・患者向けの広報資材の順次公表

施行後の対象の拡大については、骨太の方針2026(2026年7月21日閣議決定)が、次の検討などを「改革工程」等に基づいて進めるとしています。

OTC類似薬の保険給付の見直しの施行とその状況等を踏まえた2027年度以降の対象範囲の拡大に向けた検討など

(出典:経済財政運営と改革の基本方針2026 第3章2.(2))

施行後の検証については、とりまとめの制度概要の1枚にも「本制度の導入によって、受療行動にどのような影響を与えたか、処方シフトの状況を含め、施行後に検証を行い必要な見直しを行う。」と書かれています(出典:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について(医療保険部会とりまとめ))。検証の方法と時期は、2026年10月11日時点で公表された資料には書かれていません。

今後の予定

  1. 一部保険外療養の施行(令和8年政令第320号で令和9年3月1日と定められた)
  2. 対象医薬品の一覧の更新(通知では原則として毎年4月1日。毎年3月頃に事前公表の予定)
  3. 指定難病の確認を受給者証・登録者証以外の書類で代替できる当面の間の期限(令和9年度末)
  4. 鎮痛消炎外用薬・皮膚保湿剤などの経過措置の期限(令和10年度末)

予定は資料の記載にもとづくもので、変わることがあります。

カレンダーで日程を見る

経過

日付と出来事の一覧を開く(20件)
  1. 自由民主党・公明党・日本維新の会の合意に、OTC類似薬の保険給付のあり方の見直しが盛り込まれる
  2. 骨太の方針2025を閣議決定。OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しを2025年末までの予算編成過程で検討するとされる
  3. 第200回医療保険部会で、事務局が資料1「薬剤給付の在り方について」でOTC類似薬の論点を示す
  4. 第204回医療保険部会で、OTC類似薬の保険給付の在り方について患者団体からヒアリング
  5. 第205回医療保険部会で、事務局が費用負担の在り方・配慮が必要な者の範囲・OTC類似薬の範囲の3つの論点を示す(資料1-1)
  6. 自由民主党・日本維新の会の政調会長間合意。77成分(約1,100品目)、薬剤費の1/4の特別の料金とされる
  7. 令和8年度予算の大臣折衝事項(厚生労働省)で、令和9年3月の実施とされる
  8. 第209回医療保険部会で政調会長間合意の内容を報告。同日付の部会「議論の整理」に、特別の料金を求める新たな仕組みの創設が記される
  9. 健康保険法等の一部を改正する法律案を国会に提出
  10. 健康保険法等の一部を改正する法律が成立(6月5日公布、令和8年法律第31号)。一部保険外療養を創設
  11. 第212回医療保険部会で、OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会の設置を報告(資料2)
  12. 技術的検討会の第1回(8月5日の第4回まで開催)
  13. 骨太の方針2026を閣議決定。施行状況等を踏まえた2027年度以降の対象範囲の拡大に向けた検討などを進めるとされる
  14. 技術的検討会が「中間とりまとめ」を公表。8月20日まで意見公募(897件)
  15. 第213回医療保険部会で中間とりまとめを報告。患者団体ヒアリング(1回目)、こども・低所得者の扱いと今後の進め方を事務局が提示
  16. 第214回医療保険部会で患者団体ヒアリング(2回目)と意見公募の結果を報告
  17. 第215回医療保険部会で、長期使用・プロアクティブ療法・指定難病患者の確認方法の3つの論点を事務局が提示
  18. 厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会に療養担当規則等の改正を諮問(厚生労働省発保0909第1号)
  19. 第216回医療保険部会に「とりまとめ(案)」を提示。同日、中医協第657回総会が答申
  20. 政令第320号・省令第143号・告示第360号を公布。保医発0930第6号などの通知と対象医薬品リストを公表

出典

関連記事